高齢者福祉 「高齢者と共に暮らす」No.22
「高齢者と共に暮らす」コラムNo.22 転ばぬ先の杖「任意後見制度」
リーガルワークス合同事務所
ご存知のとおり現在わが国では少子高齢化が進んでおり、とりわけ高齢化のスピードは世界でもトップクラスです。こうしたなか、高齢者の一人暮らしも増加傾向にあり、これに伴い新たな問題も生じています。
もっとも、健康で元気に暮らしている間は問題ありませんが、病気や老化の進行で判断力が低下してくると、身の回りの世話や財産の管理も今までのように自分ですることが難しくなってきます。判断力が低下した高齢者を狙った悪徳商法などの被害に遭う危険もあります。ましてや自分が死亡した後の葬儀埋葬の手続きを誰がしてくれるのか、生前の医療費の支払いはどうすればよいかなど、問題点を数えればきりがありません。
今回ご紹介する「任意後見制度」は、精神上の障害により判断力が低下する前にあらかじめ任意後見人となる人とその権限を契約の内容として定めておき、万一自分が精神上の障害により判断力が低下した場合に任意後見人に自分の身の回りの世話や財産の管理をお願いするというものです。
この契約を「任意後見契約」といい、公正証書によって作成されます。またこの契約は家庭裁判所が任意後見人を監督する人(任意後見監督人)を選任することでその効力が生じます。任意後見契約だけにとどまらず比較的元気なうちの生活支援や死後の事務処理も任せる契約を付随的に結んでおくケースが実務的には多いようです。これにより、生前から死後まで一連の事務を全て任せることができ安心だからということが理由のひとつです。
残念ながら、まだまだ任意後見制度を利用する人は少ないのが現状です。ついこの間も脳梗塞で倒れた身寄りのない方が私の身近でいらっしゃいました。その方はご自分が身寄りのないことを心配して今度の誕生日を機に任意後見契約をしたいとおっしゃっていた矢先のことでした。元気なうちはなかなかその必要性は感じられないものです。しかし老いは誰にでも必ずやってきます。自分はまだ大丈夫と思わず、転ばぬ先の杖として任意後見制度について考えてみてはいかがでしょうか。
「洛西タイムズ314号」2010年4月1日発行 コラムNo.22掲載記事
